**ピックアップ調整
ピックアップ調整についてリクエストをいただきました。ありがとうございます。
簡単ですが僕が思うところを書きます。
弦とピックアップの関係はこのようになっています。
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問題はふたつあります。
ひとつは弦が指板のRに合わせてあるために弦によってポールピースとの距離が異なる事です。
もうひとつは弦のゲージによる出力差です。
(1)弦のRに合わせるという考え方によると次の図のようにセットする事が考えられます。
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(2)つぎに弦の太さによる出力差を是正すると考えます。一般に巻き弦よりプレーン弦の方が出力が大きいので、最近の弦のセットでは次のようになります。
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実際にはこの二つの考え方を組み合わせて、ピックアップのバランスをとる事になります。
一例をあげます。
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磁気フィールドのあり方や弦のゲージ、指板にそった弦のRのあり方などによって多少の違いは有りますが、概ねこんな感じです。
この図をどこかで見たな・・と思われるかもしれません。最近のストラト用のスタガードピックアップ(トールDと呼ばれているかも)のポールピースの出方にそっくりです。
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普通に考えるとこの図から大きく外れるようなポールピースの設定は特殊な場合に限られると思います。
普通のダブルコイルハムバッカーは、ストラトのようなシングルピックアップとは磁気フィールドのあり方とかが異なりますので、このまますべて当てはまるとは言いませんが、基本的にはこのようなならびになるのが自然です。
ピックアップのポールピース調整で気をつける事は、この調整を過信しない事です。
期待を裏切る例はいくつかあります。
たとえば、ビンテージのストラトのピックアップは第3弦が巻き弦である事を想定していますから、そのポールピースが高く出ています。
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最近の弦セットを使うとプレーン弦の第3弦が突出する・・・そういう結果になる筈ですが、実際にそう感じた事はありません。多くのプレイヤーがビンテージピックアップを使っていますが、バランスが悪くて困ったというような話を聞いた事が有りません。
次のようなピックアップのバランスが悪いなどという話もあまり聞きません。
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ポールピース高さによる調整は「穏やかな調整」の部類に入るものであって、ポールピース間の相互作用などの影響を考えると、極端な凹凸は必要ないと考えています。個々の弦に注目するより、全体としてのそのピックアップの傾向がどうであるかを考える方が得策のように思います。
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とはいってもポールピースの調整は追求してみたいものです。
僕の方法を紹介します。
*まず第1弦と第6弦のポールピースを同じくらいに少し高めになるように出します。
*つぎにプラスチックの定規を第1弦と第6弦のポールピースにあてて、中間の各ポールピースの高さが均一になるように調整します。いったん6個のポールピースの高さを同じにしてしまうのです。
*次からの項目は指板のRやゲージによって一概には言えないのですが、一応の目安として。
指板が平らなときには調整量を少なくすることもあります。全体的に少なめの調整量の方が安全です。
*第2弦のポールピースを1/2回転締め込みます。
*第4弦は1回転上げます。
*第5弦は1/2回転上げます。
*指板のRによっては第3弦を僅かに上げる(1/4~1/8回転)事も有りますが、それは後で決めます。
*ピックアップ自体の高さを調整します。最終フレットを押さえた状態で第1弦と第6弦のポールピース上面と弦との間隔を次のようにします。
フロントピックアップ 第1弦・第6弦 同じで3/32インチ(約2.4mm)
リヤピックアップ 第1弦・第6弦 同じで1/16インチ(約1.6mm)
この数値はギブソン社の標準のものです。
*この状態で音を出してサウンドをチェックします。
チェックするのは全体の傾向です。
もし、よりクリヤーな方向が欲しいとき・・ポールピースを6個とも同じ分量だけ出します。
例えば1/4回転分とか1/2回転分とかです。
もし、よりファットな方向が欲しいときには6個のポールピースを同じ分量だけ下げます。
*ポールピースの出方が変わりましたから、もう一度弦とポールピースの間隔を標準通りに合わせます。
**これらの作業を繰り返して、全体の傾向としてのピックアップの状態を決めます。
もしポールピースをどんどん下げていって、どれかのポールピース(僕の調整では第2弦が一番低くなる)がピックアップカバーより低くなってしまう場合(カバー付きの場合ですが)そのピックアップはそもそも好みに合っていないのではないかと思います。
この調整が出来たら次に各弦ごとのチェックをします。
好みによって各弦ごとのバランスを調整するときには必要最小限に留めて下さい。極端な凹凸は状態を不可解にするだけだと、僕は思っています。
最終的にまた弦とポールピースの間隔や、状態再現に有効な各数値をチェックして、記録or記憶して下さい。
(この項 おわり)
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