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WEB版「ミュージシャンのための簡単なギター調整」
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DVD版「食卓でできるギター調整」
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も参考にして下さい。


07年09月「ベースプレート(パワープレート)についての考察」
07年10月「電源ケーブル(うなぎケーブル)についての考察」
07年11月「実戦的ブリッジ調整 別バージョン」
07年12月「ピックアップの極性を反転する」
08年 1月「HotCake勢揃い」
08年 2月「WahWah研究」

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WahWah研究 

WahWah研究 その1

前回でWahWahの持つ問題点の一端を紹介しました。くわしくWahWahを見ていく前に基礎的な考察としてもう少し問題点を探ってみます。

アウト側の問題

前回書いたような事柄はVox848に限ったことではなく、基本的なWah回路を採用して、アウトバッファーを持たない機種すべてに言えることです。Jenや、ダンロップや、RMCの旧型製品などなどです。
Wahの基本回路は簡単でありながら「天才的に!」非常に優れていて、多くのメーカーが細かい工夫を重ねながら採用してきています。(一部例外的な製品を作っているメーカーも有ります)
ですからその長所も短所も同じように持ち合わせています。

極端な低インピーダンスの機器で受けるようなときに、前回書いたような状態になるわけですが、じつは、これが駄目であるとは一概には言えません。このときの独特の音をノウハウの一部として使いこなしているミュージシャンもいます。しかし、一般的には使いにくい状態であることは間違い有りません。
以前はこうしたノウハウを持っているものだけが良い音を出せてそれで良かったわけですが、今はそうも言っていられない状況だと思います。
このことに気がついた海外のいろんなメーカーから組み込み用バッファー基板が発表されていますし、2006年10月以降のRMCの製品にはすべてアウトバッファーが内蔵されています。
アンプを使わずにラインインで音楽が制作されるシーンが増えた今日この頃では、アウトバッファーを搭載する必要性を認識しなければならないと思います。

イン側の問題

Wahの基本回路のインプットインピーダンスは充分に高いというわけでは有りません。ですから従来のようなトゥルーバイパスではないスイッチングでは問題が生じがちです。

non_true_bp

(画像クリックで拡大)
上の図のように、そのスイッチングではバイパス時にもインプット側がギターにつながりっぱなしですから、パッシブのハイインピーダンスのギター・ピックアップに影響を与えてしまいます。バイパス時に、直につないだときより音が情けなくなる・・・というのがそれです。
これを解消する手だては二つ考えられます。

ひとつはトゥルーバイパスにすることです。下の図のような配線をすることで実現されます。
true_bp

(画像クリックで拡大)


もうひとつはインプットバッファーを採用して、インプットのインピーダンスを上げる工夫をすることです。インプットバッファーの利点はそれだけでは有りませんが、トゥルーバイパスではない場合でも、つながりっぱなしの影響を軽減することが出来ます。
Vox848ではこのインプットバッファーを採用しています。僕の記憶では、最初の頃のVox848はトゥルーバイパスではなかったので、インプットバッファーを装備したのだと思います。トゥルーバイパス用のスイッチとバッファーの電子回路とでは、おそらく、バッファーの方がコスト的に有利だったのではないでしょうか。それだけの理由ではなく、Wahの安定動作のためにもインプットバッファーが有効である・・という判断も有ったのではないかと思いますが。
現在のVox848ではトゥルーバイパスになっていますから、インプットバッファーの意味合いは、若干薄らいでいるようにも思います。

同様のインプットバッファーを装備した機種は現在のクライベイビー系で多数見受けられます。
インプットバッファを採用した場合、もともとの基本回路のイン側で行っていた音作りの効果が弱められることが考えられます。従ってもしヴィンテージサウンドを意識するのであれば、単純にインプットバッファーをつけたのでは目指すサウンドが実現できないことになります。それなりの工夫が必要だと、僕は思ってます。

よく考えられたインプットバッファー部----Wah基本回路----アウトバッファー
というのが僕が考えるWahWahの理想型です。


次回からVox848、たぶん70年頃に買ったJenのCrybaby(ずいぶん前にアウトバッファーを搭載したりLEDをつけたり、トゥルーバイパスにしたりしたModもの)、RMC4、RMCジョーウォルシュ、RMC5の比較テストを紹介します。その後にVoxTonelab内の847と848のシミュレーションWah、MorleyのコンパクトWah、Morleyのちょっと大型のWah、DODのFX17、デジテックのジミヘンエフェクター内のWah、RMC3の旧型と新型の比較などなどを掲載する予定です。

***********************************
WahWah研究 その2

WahWah各種の特性をとってみました。
信号経路は実際の使用状態に近づけたかったので次のようにしています。

オシレーター--磁気結合--ダンカンハムバッカー--WahWah--
--Hotcake(off)--Digidesign Line in--protools

アウトバッファーを持っていないWahもあるのでHotcakeのoff状態を挿んでline inにつないでいます。このような経路ですので、測定した特性は、磁気結合やその他諸々の特性を加味したものになっています。(基本的にこのようにして測定していますが、測定内容によっては一部省略している場合もあります。)

(注;測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)

**JEN Crybaby
Crybaby外観

(画像クリックで拡大)
これは多分70年代の初めの頃に購入したものです。あまりに昔なので正確なところを思い出せません。またその内部もいくつかのMODを施していますので、もともとの状態とはかなり異なっていると思います。
Crybaby中

(画像クリックで拡大)
改造内容は
*トゥルーバイパス
*アウトバッファー
*コイル部分のQを可変
*LEDをつけた
などです。ずいぶん前に施した工作が多いため、正直言ってあまりよく覚えていません。ですからいろいろなパーツが元のままかどうかも定かではありません。
しかし一応Crybabyらしい音はしていると思うので、参考に掲載しておきます。
トランジスタは名前が見えず、よくわかりません。抵抗類はカーボンのソリッド抵抗です。コイルはFASELです。POTは何度か交換していて、現在ついているのは中点端子付きの普通のオーディオ用を工夫して使っています。従って変化カーブが独特な感じになってます。

Jen Crybaby特性

(画像クリックで拡大)
この画像で3個のピークがわかります。
一番上はペダルをいっぱいに踏み込んだときの特性です。2kHzより高いところにピークがあります。
真ん中はピークが1kHz付近に来るように止めたときの特性です。
一番下はペダルを一番戻したときです。500Hzより低いところにピークがあります。
この一番下と一番上の周波数の間がペダルの可変範囲ということになります。
またそれぞれのピークの形を見るとピーク帯域の幅・急峻さがわかります。
いずれもこの1機種だけではなんとも言えませんが、他機種と比較していくことによってそれぞれの特徴がわかってくると思います。
音色ですが、入力レベルを上げていくと、わりと早めに歪み始めます。倍音が多く、中間位置で「コーコー」いう独特の感じは僕の好みです。奏法や各種機材のセッティングにもよりますが、どちらかと言うと派手な音のWahの仲間だと思います。改造が影響していると思われますので、もともとのものがこういう音色であるかどうかは、まったくわかりません。


**VOX V848

定番であるVox V847の上位機種です。

Vox v848外観

(画像クリックで拡大)
Vox v848 中

(画像クリックで拡大)

これも改造してますね。LEDをつけるためにいわゆるミレニアムバイパスをテストしたんだと思います。それ以外は元のままです。
トランジスタはMPS-A13や18が使われています。抵抗は2個だけがカーボンで、それ以外は金属皮膜抵抗です。コイルはFASELです。
前に書きましたようにトゥルーバイパスで、インプットバッファーを搭載しています。
Vox v848 特性

(画像クリックで拡大)
特性ですが、変化範囲はだいたいCrybabyと同じような感じです。
ピークを動かして特性を見てみると、全体的にどのピークのときもピークの少し上の帯域がたいらになっていて、ピークの上の成分が多めにでているのがわかります。音色が明るく感じるのはこの部分の影響でしょうか。さらにインプットバッファーの働きで高域が伸びている筈ですから、このような印象になるのはうなずけます。
ピークのあり方はかなり狭い印象です。基本的な明るさと相まって、ペダルを踏み込んだときに、パッと上に抜ける感じがするのはこの特性のなせる技かもしれません。
帯域の狭さと倍音の多さがペダル途中でのサウンドの「裏返り」具合を強調して、カラフルな綺麗な印象を与えます。
ちょっと考えると乱暴になりがちな設定だと思うのですが、実際の音はそうならなくて、むしろ美しい印象を持ってしまいます。徹底してローノイズであることや、各所パーツや回路構成による透明さがその要因になっているように思います。
結論として、派手さと上品さを兼ね備えた高級な機種だと思います。847が手元にないので比較できないのですが、僕の記憶では847はピークがなだらかな設定だったと思います。コイルに関係しているQダンプ抵抗の値が異なっていると思います。
848のピークの急峻さはもっとも鋭いもののうちのひとつです。

            つづく
************************************
WahWah研究 その3

RMCの新型の3機種を掲載します。
RMC外観

(画像クリックで拡大)

この新型というのは2006年の10月以降の仕様で、旧型とはその回路構成もサウンドも大きく異なっています。最も大きな違いはアウトバッファーを搭載していることです。RMCでは詳細は明らかにしてくれませんが、ファズ・フレンドリー・テクノロジーと記載されていますので、アウトバッファーであることはおそらく間違いありません。実際にローインピーダンスの受けにつないでも問題なく動作してくれます。
新シリーズ共通の仕様を列挙しておきます。以前に改良されたものも含んでます。

*ファズ・フレンドリー・テクノロジー
*トゥルーバイパス
*電源アダプタージャック
*easily adjustable rocker tension
*マスターボリューム
などです。

easily adjustable rocker tensionというのは、ペダルの固さを簡単に調節できる機能で、ペダル後部から6角レンチで回して調節します。
マスターボリュームは裏蓋を開けて基板上にある四角い半固定ボリュームで調整します。ファクトリーセットでは12時~1時くらいにセットされています。レベルはこれ以上多くは上がりません。基本設定が大きめですから、むしろレベルを下げてスルーのときとの整合性をとるのに役立つと思います。

(注;測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)


**RMC-4

ピクチャー・ワウという名称を持った機種で、裏蓋にGeoffreyTeeseさんの写真が印刷されています。
パーツ類は一新されました。抵抗はすべて金属皮膜抵抗です。トランジスタはBC109、オペアンプはLF351Nが使われています。コイルはオリジナルで詳細は不明です。以前のものとは外形が異なっていて金属ケースに収められています。配線は以前はシングルコアでポイント・トゥ・ポイントだったんですが、新シリーズではヨリ線によるコネクター式に変更されています。POTは改良が重ねられて現在は#5になっているらしいです。これも詳細不明です。

RMCの過去の製品はどちらかというと攻撃的なブティック・ワウの典型みたいな印象がありましたが、新シリーズで大きく変わりました。まさに「モダン・ヴィンテージ」という感じがします。この名前は僕が勝手につけたものですが・・・
RMCの発表によると「ヴィンテージのイタリアン・ワウを目指した」となっていて、本当にその通りだと思います。

RMC-4 特性

(画像クリックで拡大)
特性を見てみると、(僕のものはコイルのQを狭めていますので若干違いがありますが)Crybabyに傾向がよく似ています。
グラフからは倍音が多めなようにも思えます。しかし、信号の入力レベルを上げてみても歪みや倍音はあまり増えません。

(動的要素の強いワウを測定することの難しさがあります。静的な特性を見るだけではそのワウの特徴をつかみきれません。信号レベルを変えたり、ペダルを動かしてみたり、信号をスイープしてみたりして動きの間にどうなるかを観察しています。すべての情報をお知らせすることが出来ず、残念です。)

音色は想像以上に上品でピュアなものです。倍音が非常に多い場合にはペダルをいっぱいに踏み込むとヒステリックになる機種もありますが、このRMC-4はそうではありません。強いピッキングでも「ギャー・ジャー」っというふうにはつぶれずに、素直にでてきます。
遠い記憶でしかありませんがヴィンテージワウはこういう感じだったなあと思い出しています。海外のワウ関連の書き込みを見ても「ヴィンテージワウの音色が欲しければRMC-4を使え」という意見がいくつも見られますから、そのかた達も同じような印象を持たれたのだと思います。
ピークの帯域幅は848よりも若干広めに感じます。ペダルの変化範囲は一般的なワウと同等です。


**RMC-JW

ジョー・ウォルシュのモデルです。ボディーにペインティングがなされていることでこのモデルであることが一目で分かります。
RMC JW 特性

(画像クリックで拡大)
基本的にはRMC-4とほとんど同一ですが、一部に常数の違いが有ります。僅かながらゲインと低域を意識したものになっているようです。ピークの帯域幅は少し広めです。印象として太めのサウンドに聞こえます。

**RMC-5

ウィザード・ワウと呼ばれるモデルです。ボディーは赤く塗られています。
上記2機種とは回路に変更があって常数がかなり違いますので印象が異なります。
多少ワイルドでしょうか。

RMC-5 特性

(画像クリックで拡大)
ペダルの範囲が低い方にシフトされています。ピークの帯域は広めで、この3機種の中では最も特徴的になっています。ひと味違っていて僕は結構好きです。
しかし全体としてみると新シリーズの路線に則ったものであって、RMC4でつくった路線を踏み外していないと思います。

RMCの音をいくらかでもわかっていただけるかと思って次のような測定をしてみました。
ペダルのピークが1kHzに来るようにしてそこで固定しました。それで入力に1kHz100mVを入れてみてスペクトラムがどうなるのか・・・です。あくまで静的な測定ですのでほんの参考程度ですが。
1kHz 100mV

(画像クリックで拡大)
これがCrybabyとV848です。
倍音がかなり綺麗にでているのがわかります。歪んでいると言うことも出来ます。

では同じ条件でRMCの3機種ではどうかというと100mV入力では基本波の1kHz以外はほとんど現れてきません。それではつまらないので、入力を150mVに上げてみたのがこの図です。
1kHz150mV

(画像クリックで拡大)
つまりこの測り方では歪みは少ないように見えるということです。

測定条件を変えて何度もやってみたのですが傾向はこの図と変わりません。
僕は根本的な間違いをしているのでしょうか。

                 つづく

**************************************
WahWah研究 その4

(注;測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)


1kHzで行った測定と同じようにして2kHz付近でもやってみました。
最も踏み込んだ位置付近でピークに合わせてオシレーターの周波数を設定しています。この測定ではすべて100mVの入力で見ています。
about_2kFz

(画像クリックで拡大)
こうしてみても傾向は同じ様です。
(手元にある旧型RMC3は結構歪みます。新型のRMC3は新型RMC4に似ています。詳しくは後日)

100mV入力でこうなりますからRMCは1kHzのときよりは歪みます。

この傾向は新型のRMC製品に共通のものだと思われます。
JWは僅かながら歪みが多いようです。

ここにはない機種で・・・旧型RMC1はシングルコイル用に特化していてハムバッキングでは見事に歪んだものです。
手元に新型RMC1がないのでわからないのですが、新型でそれからどのように変わったのか興味深いところです。
あまり歪まないRMC2も発表していましたからRMCでは歪みの多さを気にしていたのかもしれません。


                   つづく
**********************************
WahWah研究 その6

**Morley CWA

Morleyというのはとても面白い会社でユニークな製品を開発してくれています。ここに紹介するコンパクトワウCWAもそのひとつです。

Morley_cwa_外観

(画像クリックで拡大)
Morley_cwa_内部

(画像クリックで拡大)


コイルを使わずにワウワウ効果を得ている珍しい機種です。
POTは他機種のような回転式は使わずにスライドボリュームをナイロンのコードで引っ張って動かすしくみになっています。
大変ユニークで面白いのですが、若干改良する方が良いなと思うところも有って、僕のものは手が加えられています。今回のテストの間にも他機種と並べて使ってみて、テスト途中でも改変いたしました。従って、最初に載せた写真と現在とでは違うものになっています。(後述)


Morley_cwa_sw

(画像クリックで拡大)

Wahのオン-オフ切り替えスイッチはヒール部に有って、ペダルを貫通したスイッチ押し用のパーツを踏むことによって作動させることが出来ます。ペダルでナイロンコードを引っ張る都合上、ケースの真ん中部分を占有され、普通の機種でスイッチがある部分が使用できないためではないかと想像されます。それにしても面白い発想です。
オペアンプはTL071で、抵抗類はカーボンが使われています。


Morley_cwa_特性

(画像クリックで拡大)


特性はこのようなものです。
なんともブロードでピークが何処にあるのかといった感じですが、じつは盛大に歪んでいます。1kHz100mVを入力したときのスペクトラムはこのようになってます。

Morley_cwa_1kHz

(画像クリックで拡大)

試みに入力レベルをぐんと下げてみると、本来のこの機種の周波数特性が見えてきます。(2kz付近で見ています)

Morley_cwa_hi

(画像クリックで拡大)

メーカー側で意図しているかどうかわかりませんが、クランチ的なブーストをしている感じです。クランチ的に強力にブーストされた出力を抵抗で分圧して(出力を下げて)ジャックにつないでいます。
従って音は派手です。全体の作りとしてハイ上がりになるようになってますから、相当に特徴的なうるささです。
僕はいろいろと手を加えていますが、けして嫌いじゃありません。何か違う音色のワウとしてすごく魅力を感じます。オールマイティーではありませんが、他では得られない音です。
言い方を変えれば、この機種は「ちょっと過激なバンドパスEQを持ったクランチ・ドライブ」なのかも知れません。

**改変したところ

(1)まずアウトのジャックのホットとアース間に27kオームという謎の抵抗がつながりっぱなしです。バイパス時にもつながっていますから、ギターの音は「ボヨ~ん」とします。トゥルーバイパスの音とは似ても似つかない音です。この抵抗の意味はなんでしょうか。僕にはわかりません。ですから、バイパス時にはこの抵抗が入らないように配線を変えました。一番簡単なのはニッパーで切り取ってしまうことですが、記念にとってあります。

(2)アウトに関連して、抵抗で分圧して下げてあることは既に言いました。であるならば積極的に出力レベルをコントロールできる方が面白いのではないか・・・と考えました。
分圧している直列の抵抗に並列に半固定ボリュームをつけて、レベルコントロールをすることにしました。(もとより上げる方向です)
普通に考えればこのアウト部分を普通のボリュームに置き換えれば最も素直です。しかしここでも元の回路を出来るだけ保存しておきたくて、このようにいたしました。なにかの記念にということです。

mc_out

(画像クリックで拡大)


(3)もともとのペダルはスライドボリュームのすべてを使えるようにするために、非常に長いストロークになっています。角度で言うと他のワウワウの2倍ぐらいの角度変化があるような印象でした。他の機種と並べて使ってみると、このCWAだけが違和感があるのです。
というわけでペダルのストロークを半分ぐらいにして、それで音の変化範囲は元通りであるように工夫しました。元の回路ではAカーブの50kオームと68kオームの抵抗を組み合わせています。合成抵抗は0~29kオームぐらいということになります。そこで半分のストロークでそれを実現するために68kは使わないことにしました。この状態でスライドボリュームの変化範囲を測ってみると、中間地点では半分を使用する側の抵抗が小さいことがわかりました。Aカーブのボリュームだからです。それで、スライドボリュームをいったん取り外して上下を逆に取り付けました。これで半分を使う側の抵抗は0~30kオームぐらいの間で変化するようになりました。
この場合も68kは切り取ってしまえば良いのですが、片側の配線だけはずして、記念にとってあります

mc_vol_2


(画像クリックで拡大)

元のペダルは一番踏み込んだときにかなり前のめりになる感じでしたから、ペダルのつま先側の下にストッパーをつけて良さそうな角度を探しました。
ボリュームの変化カーブが心配だったんですが、試してみると意外なことに使い易くて、改造は成功でした。

mc_pedal調整

(画像クリックで拡大)

(測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)

                  つづく
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WahWah研究 その7

**Morley BWA

つづいてMorleyの大型のワウBWAです。

bwa_o

(画像クリックで拡大)

bwa_i

(画像クリックで拡大)



これはある海外のアーティストが使っているのを聞いてその音の美しさに惹かれて探し求めたものです。最大の特徴はペダルコントロールに光を利用していることです。受ける光の量によって抵抗が変化する素子を使い、それを普通はPOTを使うところに入れています。よくあるPOTのガリから100%逃れられるのでなかなか良いアイディアです。

光が当たる状態
bwa_s_1

(画像クリックで拡大)

光を遮った状態
bwa_s_2

(画像クリックで拡大)

回路的にはCWA同様にコイルを使わないものです。しかし回路のしくみがCWAとは異なっているようで、これが同じメーカーの同種類のエフェクターなのかと目を丸くするほど性格が違います。
CWAの所で書き忘れましたが、双方ともLEDインジケーターを装備していて、トゥルーバイパスではありません。BWAの切り替えスイッチはヒール部に取り付けられていて、ペダルの動きとは関係なく、ペダル位置をどこかに固定したままのオン--オフが出来るようになってます。

使用オペアンプは741です。抵抗はカーボン。基板で面白いのはプリント面を表にして、プリント面側にパーツが取り付けられていることで、回路の様子が一目瞭然です。
電源電圧は9V電池2個を直列にした18Vです。


bwa_

(画像クリックで拡大)

特性はこのようなものです。とても綺麗だと思います。低音のピークをさらによく知りたくて条件を変えて特性を取り直してみました。
それが次の図です。

ml_new_lo

(画像クリックで拡大)

低音のピークが相当下にあることがわかります。高音のピークもかなり高いですから、ペダルの可変範囲が本当に広く感じられます。ギター用として考えると、ここまで広くなくてもよいのでは・・と思いますが、ひょっとしたらキーボード用という考え方もあるのかもしれません。

音色はクリーンの一言につきます。普通の使用状態ではほとんど歪みません。

ml_new_1khz

(画像クリックで拡大)


1kHz100mV入力でペダルのピークを合わせたときのスペクトラムがこれです。基本波しかでていません。何かの間違いかと思って何度も条件を変えてやってみたりしましたがこの状態は変わりません。同じ条件で他機種をつなぐと今まで見てきたような特性がでますから、間違ってはいないと思います。入力レベルをかなり上げても歪みません。
これは本当にこういう機種なんだと思います。最も歪まないワウのひとつであるといえるかもしれません。
電源電圧の高さも歪まない一因でしょうか。

(測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)


        つづく
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WahWah研究 その8

**Tonelab SE

VoxのTonelab SEにはペダルが2本ついていて簡単にワウワウを使うことが出来ます。シミュレーションしているのはVox-V848と847です。
tonelab_o_

(画像クリックで拡大)

まず848の特性から
tonelab_848

(画像クリックで拡大)

ピークの帯域は急峻で狭めの設定に見えます。おそらく848の回路常数を正確に再現するとこうなるのでしょう。実際のアナログ848はいろいろな不確定要素が考えられますから、このままの特性にはならないのだと思います。
ペダルの可変範囲は広めに設定してあるようです。ペダルの可変範囲を設定するパラメーターがありますので、好きな感じにすることが可能です。測定時には最も広くなるように設定しています。

つぎに847の特性です。
tonelab_847

(画像クリックで拡大)

ピークの帯域幅は848よりは広くとってあります。むしろこちらの方が実際のアナログ848に近いように感じます。
ペダルの可変範囲は848の場合と同様に広いです。

音の感じはさすがに同じVoxだけあって非常によく出来ています。アナログ848と比較するとTonelabのほうが若干すっきり感があります。そのぶんペダルへの反応が鋭くなっている気がします。
1kHzを入れたときのスペクトラムはなかなか良い感じです。
tonelab_848_1k

(画像クリックで拡大)

本当にうまく作るものだと感心してしまいます。
Voxでのワウワウ研究はだいぶ進んでいるようです。今後も大いに期待できると思います。

**Genesis3

シミュレーション・ワウの代表的なものとしてもうひとつ、ジョンソンのGenesis3をとりあげておきます。
genesis3_o_

(画像クリックで拡大)

この機種はクライベイビータイプと、ブティックタイプ、フルレンジタイプの3種類の音色を搭載しています。
ワウを使うには専用のコントローラーかミディペダルが必要になります。

*クライベイビータイプ
gene_cry

(画像クリックで拡大)

*ブティックタイプ
gene_boti

(画像クリックで拡大)

*フルレンジタイプ
gene_full

(画像クリックで拡大)

こうしてみるとブティックタイプが僕のクライベイビーには最もよく似ていると思います。しかし、僕のクライベイビーはすでにいわゆるブティック・ワウに近い改変がなされていますので、あまり参考にはならないかもしれません。(そのせいで非常に似た特性が得られているのかも・・・・)

フルレンジのペダル可変範囲の広さには驚きます。使いこなすのが難しそうです。
(もちろんこの3タイプともペダル可変範囲の設定が出来ます)
ピークの帯域が非常に狭いですから、ピーク内と外との落差が非常に大きいです。
もう少し歪めば倍音成分が出力されてつながりがよくなるんでしょうけど、この機種のワウ部分ではあまり歪みません。
gene_cry_1k_100

(画像クリックで拡大)

歪まない分だけクリーンなペダルの動きに敏感な感じはよくでています。

こういったシミュレーションモデラーの場合には(Tonelabも同様に)一部分だけを独立させて使うことはまれだと思われますので、もっと総合的な音作りで判断すべきものと思います。
と言いつつ、Genesis3のブティックワウの単独使用が結構好きだったりします。僕のテスト用のアクティブピックアップのギターと相性が良いです。


(測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)


               つづく
***********************************
WahWah研究 その9

**new RMC3とold RMC3
new_old_rmc3_

(画像クリックで拡大)

新型のRMC3と旧型のRMC3を比較してみましょう。
新型は他のRMC4ピクチャーワウ等と同じコンセプトで作られています。もう一度新シリーズ共通の仕様を挙げておきます。

*ファズ・フレンドリー・テクノロジー
*トゥルーバイパス
*電源アダプタージャック
*easily adjustable rocker tension
*マスターボリューム
などなど。

やはり大きく異なるのはアウトバッファーを装備したことです。

参考にまず旧型のRMC3の特性をのせておきます。
rmc3_jin

(画像クリックで拡大)

ピークの少し上にもうひとつピークらしきものがでていますが、実はかなり歪んでいて基本波の上の周波数がこれぐらい出てしまうのです。
1kHz100mVを入れたときはこんな感じです。

jin_1k

(画像クリックで拡大)
RMC3は各部の設定を自由に出来ますので、この特性はあくまで僕好みに設定した旧型の場合ということです。
旧型RMC3はアウトバッファーがありませんので、僕は改造しています。

rmc3_mod

(画像クリックで拡大)
(1)トゥルーバイパスでLEDインジケーターをつけたいため9pのスイッチを使用
(2)アウトバッファーを搭載




新型の特性を見てみます。とは言っても先ほど言ったように、この機種は数多くのパラメーターをユーザー好みに設定できます。ここに載せた特性はファクトリー設定の場合です。
new_fact

(画像クリックで拡大)

低域のピークが少し高めです。ピークの帯域の幅は少し広いようです。
このときの設定は
Lo max
mid max
Q 11:00
vol 12:00
sweep 4.5.6 on
fine tune 9:00/3:00
です。
ここで少しコントロール類を説明しておきます。

rmc3_cont

(画像クリックで拡大)

基板の一番上にあるのがLoのコントロールです。しかし、このポットはLoだけを設定するものではありません。基本のWahのゲインも変えてしまいます。ですから低域のみならず、Wahの全体に大きく関わります。

二番目はミッドのコントロールです。これを上げておくと中音域のピークが特徴的になります。

三番目はピークのQコントロール、つまりピークの急峻さを設定します。僕の好みでは最も狭いぐらいがちょうど良く感じます。最も狭く設定しても848よりは少し広いかもしれません。

四番目はボリュームコントロールということになっています。でもこれを下げるとペダルの可変範囲も同時に変わってしまいます。maxの時が最も広くて、12時まで下げてしまうと先ほどの特性のように低域がかなり上にきてしまいます。僕としてはこのボリュームはまず最大にしておいて、もしディップスイッチの具合で低域のピークが下がりすぎたときには少し絞り気味にして、ペダル幅を調整する・・・というような使い方の方がよいのではないかと思っています。では音量はどうするかと言うと、基板の右の上にVR21というポットがあります。これがマスターボリュームですので、ここで調整するようにします。
Loを欲しくてLoポットをあげるとゲインが上がり、同時に上記の理由でvolポットも最大にするとかなり音量が上がりますので、結果としてVR21を絞り気味で使うことになるでしょう。

Dipスイッチはちょっと難しいのですが、次のような事柄を頭に入れておいて下さい。
このようなスイッチで数値を設定する際の考え方のひとつです。RMC3の数値がこの説明の数値と同一ではないのですが、基本的な概念として知っておくと、設定の際に参考になると思います。

まず、ファインチューニングは、たぶん、同じものが2個ついてます。これは9時位置で最大、3時位置で最小になるトリマーです。中間は上側でも下側でも同じです。つまり6時と12時は同じです。9時位置で0.5と思って下さい。12時で0.25 3時でゼロです。中間は連続可変です。
2個のトリマーは足し算です。1個が9時でもう1個が12時なら 足して 0.75です。
この数値とDipスイッチの値を足してこの部分の常数が決まります。

それでDipスイッチですが 最小単位が1です。つまりDipスイッチで設定できる最小単位の1以下を設定するのがファインチューニングです。
Dipスイッチの値は次のように考えます。
   #1      1
   #2      2
   #3      4
   #4      8
   #5      16
   #6      32
   #7      64
   #8      128
   #9      256

これも足し算です。例えばファクトリー設定の#4+#5+#6は 8+16+32=56です。それにファインチューニングの3時+9時=0.5を足すと56.5ということになります。
もし60.25という数値にしたければ #3+#4+#5+#6+12時+3時で4+8+16+32+0.25=60.25となります。
これで設定できる範囲は 0~~512です。
( 全部オフで3時+3時の0+0=0から 全部オンで#1~#9を足してさらに9時+9時の1を足して511+1=512 )
この数字が小さい場合はペダル範囲は高域側になります。大きくなるにつれて低音域にシフトしていきます。

実際にはRMC3ではこの通りにはなりません。数値が飛ぶ間隔を狭めている部分があるからです。しかし考え方の基本はこういうことだと思っているとスイッチの設定が容易に行えます。
設定の方法は次のようにするとわかり易いです。
二個のトリマーは容量ゼロつまり3時位置にしておきます。
それで、たとえば6だけをオンにすると上に行き過ぎて、7だけをオンにすると下に行き過ぎてしまい、この中間にしたいときは、まずスイッチの上の側を--この例では6ですが--オンにします。次にこれに1~5のスイッチを足していきます。スイッチ5を足すと下に行き過ぎ、4だとちょっと足りない--そのときはそのちょっと足りない方を選びます。これでスイッチの6と4がオンになりました。さらに1~3のスイッチを足していきます。ここでも下に行き過ぎるものよりちょっと足りないものを選びます。
このようにしてスイッチ1までが決まります。この段階で音はちょうど良いか少しまだ下がり足りないか・・です。そしてその下がり足りない量は1以下の単位になっています。
1以下の単位を調整するのがトリマーですから、二個のトリマーを回して最適なところを探します。
調整が出来上がったときの数値はオンにしたスイッチに対応した数字を足し合わせたものに、二個のトリマーの位置で得られる1以下の値を足し合わせたものになります。

ここでもう一度注意なんですが、RMC3ではスイッチに対応する数値が紹介した数値通りではありません。間隔が変えてあるのです。紹介した数値では例えばスイッチ1~6をすべて足したものはスイッチ7から1ひいたものと等しくなりますが、RMC3ではそうはなりません。しかし、このように考え、このような手順で設定するのが一番確実で早道ですので、是非お試しいただきたいと思います。
またキャパシタはもともと非常に誤差が大きいものです。ですから2台のRMC3のディップスイッチを同じにしたからといって同じ音になるとは限りません。むしろ違っていて当然と言えます。1台1台自分の耳を信じて設定していくのが最もよいです。

調整の参考に各スイッチをオンにしたときのペダル範囲を見て下さい。
ペダルを戻したときの低域のピークと、もっとも踏み込んだときの高域のピーク位置を示しています。ピーク位置だけを見るものですから、中間部の特性等は無視して下さい。この特性をとったときのvolポットはmaxです。
スイッチオンがとびとびになってますが、中間のスイッチの時の状態は想像してみて下さい。
dip_sw

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ファクトリー設定のときの1kHzはこんな感じです。歪みは少なめであるといえます。
new_1k

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2kHzでみると1kHzの時よりは歪んでいます。
new_2k

(画像クリックで拡大)


ちなみに旧型で僕が行っているような設定に近づけて新型のvolポットを最大にしたときの1kHzはこんな感じです。
vol_up_1k

(画像クリックで拡大)

どうやら僕は結構歪んでいるのが好きみたいです。 

RMC3は基本のWah回路で設定できる常数のほとんど全部を可変できるようになっています。ここまでやるのは凄いことです。これ以上やるとしたら、入力部の抵抗を可変にするとか、数種類のコイルを差し替えて使えるようにするとか、トランジスタを簡単に交換できるようにするとか、Wahペダルのポットを簡単に交換できるようにするとか・・・そういうことになってしまいます。

RMCで使われているペダル用のポットは他メーカー製品で使われている一般的なポットとは抵抗値が違っています。その効果で低域の充実が図られているようです。


(測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)

             つづく


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WahWah研究 その10

**DOD FX-17

これまた変わったワウワウです。
DODの多目的ペダル(ミディのヴォルテージコントロール、ヴォリュームペダル、ワウワウ)のFX-17です。

fx17_o_

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特徴はペダルコントロールにキャパシティー(静電容量)の変化を利用していることです。基板面と、それに向かい合った金属板とが薄いプラスチックの膜でしきられています。金属板はペダルで動くようになっていて、基板面と向かい合う面積が変わるしくみです。そこでの静電容量変化を利用して、ピーク周波数を動かすというわけです。DODのパンフレットによれば、抵抗を使うとガリの心配があるし、光を利用したものだとやがて寿命が来てしまうので、その心配が無いものを使うことにした・・・とのことです。 どういう方法であれ、ピークの周波数が希望通り動いてくれれば良いわけです。
動作は大変スムーズです。切り替えスイッチはヒール部に有って軽く動作するものだったんですが、ちょっと誤解され易いので、つま先側にマイクロスイッチで新たに作りました。不格好ですが実用的になりました。

特性はこんな感じです。
fx17

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音は比較的クリーンな、それでいて独特のものです。なんと言って良いか・・よくあるオートワウの音色を足でコントロールしている感じ・・
難しいですね。
歪みは少ないです。
fx17_1k

(画像クリックで拡大)

ですからペダルの位置に応じた音が正直に出てくる感じ・・・
なんとも言いようがありません。
音の感じを表現できなくて申し訳ないのですが、実際のレコーディングで使用したことがありますので実力は充分だと思います。あるギタリストが気に入ってくれて、一枚のアルバムのワウパートはすべてこれだったように記憶しています

ペダルの変化範囲は広めなんですが、実際に踏んでみるとこれ以上のペダル幅に感じます。
ケースの前面に小さな穴が二つあいていて、細いマイナスドライバーで特性の調整が可能です。左側はペダルを一番踏み込んだときの周波数を変更します。右側はペダルの高音側と低音側のバランスをとります。
いずれも大変に微妙でほんの僅かずつ動かす必要があります。うっかり回すと突然とんでもない音になってビックリします。


**DigiTech Jimi Hendrix ExperienceのWahWah

ジミヘンのサウンドに特化した複合エフェクターの中のWahWahを試してみました。何個か入っているワウサウンドのうちのプリセット6のトウ側のWahWahです。

jimi_o_

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この機種はジミヘンの特定の曲を演奏するために作られたものですから、そのサウンドは複雑です。6のトウ側のワウが比較的わかり易かったのでこれを選びました。
ペダルの変化範囲は狭めです。

jimi_hi_lo

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他のシミュレーションとの絡みもありますのでこういうものになったのだと思われます。歪み方はそれほどでもありません。

jimi_750

(画像クリックで拡大)

ほかにファズフェイスと組み合わせたWahWahも搭載されてますから、歪みが必要な場合それを使ってみるのも良いかと思われます。
話は違いますが、これに搭載されているファズフェイスのシミュレーションは秀逸です。こういう音のファズフェイスの実物が欲しくなってしまいます。

マニアックな単目的に近いエフェクターを作るデジテックの姿勢が好きです。ちなみにこのプリセットは「Voodoo Child(Slight Return)」のイントロの音で、ブラウンフェイスのフェンダーBassman、EMTプレートリバーブ、スラップバックディレイ、Vox ClydeMcCoy Wahの音をシミュレーションしているそうです。
当時の音を再現するために同じスタジオ、同じエンジニアで昔のマルチテープを解析したそうです。すごいものですね。

(測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)

         つづく
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WahWah研究 その11

**RMC6 Wheels Of Fire (WOF)

RMC6 Wheels Of Fireです。
つい先日このページ用に急遽送られてきました。ありがたいことです。
rmc6_wof_

(画像クリックで拡大)

このモデルでも新シリーズの仕様はすべて採用されています。
最大の特徴はRMC3では裏蓋を開けて細いドライバーで調整しなければならなかったコントロールのいくつかをケース側面のツマミとして使えるようにしたことです。
側面に出されたコントロールはLo、Vol、Qです。

機能や操作上の注意はRMC3のところで述べたことがそのまま当てはまります。
Loは低域のコントロールです。しかし、それと同時にワウのゲインもコントロールします。これを時計方向に回すにつれてローエンドがでてきますが、ゲインもまた上がります。もし上げすぎると、パワーのあるギターを使用したときに、サウンドが濁りすぎるかもしれません。僕はいっぱいに上げたときの荒れた感じは好きですけどね。クリヤーなコードカッティングなどのときには少し絞り気味の方が好結果を生みそうです。このツマミはそれ以外にもQの感じやペダルの可変範囲にも若干影響していることがわかりました。ワウの全体像を決める最も大切なツマミであるといえます。
Volは一応エフェクト音のボリュームを決めるものです。これも前に書いた通り、ボリューム変化とともに、ペダル範囲にも大きな影響を与えます。僕はむしろペダルの可変範囲のコントロールに主眼をおいた方が良いと思ってます。音量の調節は後述のVR21で出来るからです。
最後はQコントロールです。これはピークの急峻さを決めるものですが、書いてきました通り、他のパラメーターもQの感じ方に影響を与えています。ですから、他のパラメーターを決めてから、最終的なワウのキャラクター付けとしてQコントロールを設定するのが良いと思います。

裏蓋を開けた中にあるVR21が他の機種と同じようにマスターボリュームです。LoやVolを上げ気味で使うとき、エフェクターの出力はかなり大きくなります。その時はこのVR21でバイパス音とエフェクト音とのバランスをとるようにします。

wof_tokusei_

(画像クリックで拡大)
さて特性です。これはすべてのコントロールをフルに上げた状態で測定しています。ペダルの上側は2000Hzと標準的ですが、下側は300Hz付近になっています。またこの状態ではピークの帯域がそれほど急峻ではないことがみてとれます。

1kHzと2kHz付近でピークに合わせて信号を入れたときの様子です。各コントロールはmax状態です。
wof_1k_2k_

(画像クリックで拡大)

すべてをフルアップしていると新シリーズには珍しく、歪みが多い感じがします。RMC3でもこの状態を作り出せますが裏蓋を開けて細いドライバーで設定しなければなりません。RMC6 Wheels Of Fireでは外に出たツマミを回すことによって簡単に操作できるので便利です。


サウンドは他ではあまり聞けない独特のものです。量感のあるローが出るのですがミッドレンジが押さえ気味であるため、いわゆるウーマントーン的なモーッとした独特のサウンドです。ペダルを踏み込むと一転して倍音の多い「ファットな」高音がでますのでその落差が大きいです。これには中音域に於けるQの感じ方も大いに関係していると思います。

設定例として、試みにLoとVolをそれぞれ12時くらいにセットしたときの様子を見て下さい。このグラフは、高音域のピークと低音域のピークだけに着目して、それ以外は無視して下さい。
wof_12ji_

(画像クリックで拡大)

これをみるとそれぞれのコントロールによってその全体が影響を受けていることがわかります。
Volが12時のときには低域のピークが上方に来ています。同時に高域のピークが急峻になっています。高域側のピークのさらに上にも倍音によるピークが現れています。もし最も劇的なペダル操作を望まれるなら(ペダル範囲との兼ね合いがありますが)Volを12時~1時近辺にセットするのがよいのではないでしょうか。
Loのコントロールは上げれば上げるほどレンジがワイドになり派手になるので理解し易いのですが、Volはちょっと違っていて、なにかスイートスポットといえるベストな設定があるようなのです。

それとコントロールによっては操作時にノイズが出るものがあります。これは操作している手法がノイズが出やすいものになっているからです。アンプから音を出しながら操作することが多いと思いますので、大音量のときには少し注意する方がベターです。RMC3に於いてもこれは同様です。

(測定環境の関係上、数値や測定結果はかなりアバウトです)

            つづく
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WahWah研究 その12

**Tips

WahWahに関するTipsがいくつかあります。

(1)スイッチの高さ調整
立って弾いているときには軽快に切り替えられるスイッチでも座って弾くとなかなか切り替えられない場合があります。立っているときには体重をかけられるので切り替えが楽なものでも、座っているときにはほとんど足首の力だけになることが多いので切り替え辛いのです。スイッチの高さ自体を調整すると良くなりますが、頻繁にそれを行うのは面倒です。
このようなときにはペダルの下のスイッチの頭に小さくきったビニールテープを貼ると具合が良くなります。
sw_top

(画像クリックで拡大)


どれくらいの力で切り替わるか、必ず足で踏んで試しながら、2枚3枚と重ねてはっていきます。ビニールテープの厚さによりますが、大体2~3枚でちょうどよくなります。
不要になれば剥がして裏蓋等に貼っておけば必要になった時にすぐにまた使うことが出来ます。
座った状態で具合が良いものは、立って弾いたときにペダリングの勢いで誤って切り替えてしまうことがあります。両方でちょうど良い設定が見つかれば良いのですが、ちょっと難しいです。

(2)スイッチで無音部分が・・・
切り替えようと思ってペダルを踏み込んだときに、うまく切り替わらなくて、無音になってしまうことがあります。また、切り替え時でなくても、いっぱいに踏み込んだときに無音になるということもあります。切り替わったとしても切り替え時に一瞬の無音状態が出来て音が途切れることもあります。
スイッチの内部はシーソーのような形をしています。スイッチを押す度にシーソーの板が反対側に傾くという感じです。
1回路(3P)のスイッチではこれが比較的軽く動作します。ところが2回路(6P)、3回路(9P)となるにつれて動かす部分が大きくなっていき、動作がスムーズでなくなる傾向があります。
上記の無音状態というのはシーソーが傾ききらずに中途半端な場所で止まってしまったり、踏み込み具合で接点が浮いた状態になったりして起こります。
この症状で厄介なのはスイッチ自体を指で押したりしてテストするとまったく正常に動作することです。ここにワウ特有の問題があります。ペダルのトウ側にはゴムクッションがあり、ペダルの裏側のスイッチを押す部分にはフェルトが貼ってあるものが多いです。これらの弾性があだになってスイッチが微妙な位置---半押し状態になりがちなのです。
この症状は軽く動作させたくてスイッチ自体の高さを上げすぎるときに多く見られるように思います。上記(1)の調整でテープを貼りすぎるとこの状況になることもあります。
解決策としては、切り替えるときにちょっと力がいるかな~~そうでもないかなあ~~というぐらいの設定にすることです。スイッチ自体を僅かに下げ気味にして、スイッチの頭に貼るビニールテープの枚数を調整すると、具合の良い状態を見つけることが出来ます。また切り替え時には節度を持ってはっきりと踏み込むという癖を付けることも大切です。
それと、僕の経験では、この現象はゴムクッションとフェルトが柔らかすぎるときに多く起こるような気がしています。所有するWahWahの中にはそういうものがありましたので、ちょっと工夫しています。フェルトをはがしてかわりに同じ厚さのもう少し固めのものを貼ってあります。
その機種のフェルトはたまたま1円硬貨2枚ぶんの厚さだったので、1円硬貨を2枚重ねてペダルのフェルトが有った場所に貼りました。出費が2円で出来るスペーサーというわけです。
硬貨を改変すると罪に問われますが、接着剤で貼っただけなのでそれをはがせばまた使えるようになりますので、何の問題も無いと思います。

(3)各所の常数を変更する
ワウのキャラクター・音質にはコイル(インダクター)が大きく関わっています。ですから現状のワウの音を根本的に変えようとする場合、コイル(インダクター)を他のものに変更するというのが最も効果的であると思います。
しかし、基本的なキャラクター・音質は気に入っていて、さらに自分に合ったようにある程度チューンナップしたいということであれば、各所の常数を変更して好みに合わせる・・ということが考えられます。これには電子回路の知識が必要になりますので誰にでもというわけにはいきませんが、一応掲載しておきます。

wah_kihon

(画像クリックで拡大)

これが一般的なワウの基本回路です。機種によって若干のアレンジはありますが、大同小異だと思って下さい。(インプットバッファーを持った機種ではこの基本回路の前にバッファーがあります)

R1  入力部にある抵抗です。68k~100kオームぐらいの機種が多いです。これをもっと小さな値の抵抗に変えるとゲインが上がります。47kオームとか33kオームぐらいとかを使う例が知られています。
もしトゥルーバイパスでない場合にはあまり小さくしてしまうとバイパス音に大きく影響してしまいますので、出来ればトゥルーバイパスにしたうえで試されると良いと思います。
小さな値の抵抗を用いるとワウの音質に影響を与えます。ハイインピーダンスのパッシブのピックアップをつないだときに、若干ですが低音域にサウンドの中心が移ります。(というかピックアップの高域が少し押さえられる)

R2  ほとんどの機種で1.5kオームぐらいの抵抗が使われています。これはミッドレンジに影響を与えるようです。もしペダルを戻したときにモーモーいいすぎるようなときには1.5kから3kオームぐらいの間で試してみると良いようです。

R3  例外はありますが400~500オームぐらいのものが多いです。これを小さくするとゲインと低域が上がります。小さくしすぎるとサウンドが濁ってくることもありますので、普通は250オームぐらいまででしょうか。でも僕はここをうんと小さくしたときの音も好きです。歪み方にも大きく影響しますので、ここをいじるといじりがいがあります。

R4  コイル(インダクター)のQを調整している抵抗です。だいたい33k~100kオームのあいだです。大きい方がピークが鋭くなります。しかしQに影響を与えているのはこの抵抗だけではありませんので、もしどこかを改変したときにはこの抵抗の値を再調整することが必要かもしれません。

C1  0.01μF付近のものがおおいです。ワウのペダル範囲の中心を決めています。これを小さくするとワウが全体に高域側になり、大きくすると低域側になります。ベース用といわれているものでは0.068μFぐらいのものもあるようです。

これ以外のパーツも影響を与えていますが、簡単にさわれるところはこれぐらいでしょうか。

初段のトランジスタはサウンドへの影響が大きいようですので入手できる方はいろいろ試すと面白いと思います。

少しの知識があればアウトバッファーも簡単に作ることが出来ます。これはFETのソースフォロワーを使った回路の一例です。電子回路に関する情報はネット上にたくさんありますので、興味のある方は調べてみて下さい。

out_buf

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(4)POTについて

POTについて「XXXのもののカーブが良い」などということが言われています。また「ヴィンテージのもののカーブが絶対的に優れている」・・というような発言も見られます。
では、特定のPOTを使えば必ず好結果が得られるのかというと、これは一概には言えません。なぜならいわゆるヴィンテージと最近のものではペダルの機械的な可動範囲が違う場合があるからです。
昔のペダルの機械的な可動範囲は、ペダル前面の動きで測って20mmぐらいです。それに対して近年のペダルでは25mm~30mmぐらい、場合によってはそれ以上の機械的可動範囲があります。POTの回転角がこの機械的可動範囲に追随していると考えると、ヴィンテージペダルはPOTの回転の狭い範囲を利用していることになります。大きく動くペダルではより広い回転角の部分を利用しています。

このことが意味するものは、同一のPOTであっても取り付ける筐体によって、使い心地や音の可変範囲に違いが生ずるということです。

ヴィンテージのPOTを機械的可動範囲の広い機種に取り付けて良い結果が得られるとは限りませんし、最近の定評あるPOTをオールドペダルのリペアーで使ったとしても、良い結果を得られるとは限りません。
もし仮に、広い回転角を想定して作られていて機械的可動範囲が広い機種に取り付けられてよい結果がでているPOTを、狭い可動範囲の機種に取り付けたとしたら、そのカーブの全体を使うことが出来ずに、何かよくないという印象をあたえてしまうことが充分に考えられます。
決してPOTの性能が劣っているわけではありません。POTの選択が誤っているのが原因です。何処でなにをどう使うのか、よく考えなければなりません。
ネット上には有名どころの各社のPOTの測定結果のデーターがアップされています。
そのカーブをよく比較して自分の希望に合ったPOTを選択することが大切です。

POTによる変化カーブの違いの一例
pot_cu

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改変される方は自らの責任に於いてなされるようにお願い申し上げます。

              この項 おわり
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HotCake勢揃い 補足と予告

HotCake勢揃い 補足と予告

次回から予定を変更してWahWah研究を掲載したいと思ってます。
それで予備的なテストをしているわけですが、バッファー問題で
最適と思われる事例がありましたので補足いたします。

Vox848というワウワウが有ります。
これは847の上位機種で、入力回路に工夫をこらした、大変優秀な
ワウワウです。プロの間でも人気が高い製品です。

ワウワウというのは一種のバンドパスフィルターで、それの
中心周波数をペダルで上下させることによって独特のサウンドを
得ています。
一般的な機種の可変範囲はおおむね500Hzから2kHzで、その間を
行ったり来たりするわけです。

オシレーターの出力をワウに入力して、ペダルを一番踏み込んだ
状態と一番戻したときの状態の周波数特性を見れば、そのワウの
可変範囲が分かります。

Vox848でこのテストをしてみました。

オシレーター ---Vox848 --- 通常のラインイン
 
という経路です。
このラインインはプロツールズ関連のインターフェースのもの
です。

これで特性を測ってみました。
ほとんどはうなずける特性なのですが、ペダルをいっぱいに
戻したときの特性が異常なのです。


ペダルをいっぱいに戻した状態の特性1
Vox848NB

(画像クリックで拡大)
ペダルをいっぱいに戻したときには、本当は500Hz付近に
ピークが来なければならないのですが、1kHzより高い
ところになってしまっています。
つまりこの状態ではペダルの可変範囲が非常に狭く、あまり
ワウが効かないということです。

Vox848は大変ローノイズで音色も優れていて僕のお気に入り
のひとつですが、アウト側にバッファーを持っていないため、
受けのラインインのインピーダンスに対応できないのです。
ハイインピーダンス受けのギターアンプではまったく問題
ないのに、ライン直接続でこうなるのは、ちょっと残念です。
これが再三書いている「Wah--Fuzz問題」と同じ原因による
トラブルです。

そこでVox848のアウトにバッファーを入れてみることに
します。
これにはホットケーキのバイパスを利用してもよいし、
チューニングメーターでバッファーモードが有るものを
利用してもよいし、もちろんバッファーとして売られているもの
を利用してもよいです。
僕はたまたま足もとに転がっていたAB切り替えボックスに
内蔵されたバッファーを使ってみました。信号経路は

オシレーター --Vox848-- バッファー --ラインイン

です。
それでとった特性が次の図です。


ペダルをいっぱいに戻した状態の特性2
Vox848 wB

(画像クリックで拡大)

いかがでしょうか。本来のペダルの可変範囲になることが
お分かりいただけることと思います。
低インピーダンスのラインインに対しては、バッファーを
入れることによって、本来の500Hz付近から2kHz付近までの
可変範囲になります。

次回からリアル・マッコイ・カスタムの3機種と、代表的な
ワウワウVox848、CryBaby('70?)などについて書いていきます。
ぼくはWahWahが大好きなので時間が許せば他メーカーのものも
とりあげたいと思ってます。

HotCake勢揃い

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。

さて手始めはHotCakeです。
HC


左からスタンダード、オールドサーキット、プロトタイプ、ブルー、3ノブです。
それぞれの回路を見てみると、
HCなか

このようになっていて詳細は分かりませんが、基本的には同一の回路の各部の常数をかえてバリエーションを作っているようです。
従ってそれぞれの歪み方や音色には、共通する「ホットケーキサウンド」とでも言うべきものが貫かれています。

次回は個々の機種についてリポートします。

           (つづく)

************************************
HotCake STD

ホットケーキ・スタンダードです。
なにゆえスタンダードなのかよく知りませんが、生産中期からの
製品でもっとも多く流通しているからかもしれません。
コントロールはDRIVEとLEVELそしてPRESENCEスイッチです。

音色はレンジが広く大変素直です。インプット系での色づけが
まったくと言ってよいほどなされていないのが特徴のひとつで
あるかもしれません。DRIVEをしぼりきってLEVELを合わせて
バイパス時と音色比較してみると、その透明さがよくわかります。

DRIVEを徐々に上げて歪ませていくとほぼ全帯域にわたって
穏やかにクリップしていきます。まさに良質のオーバードライブ
ということが出来ます。
ミニスイッチは音色の最高域を付け加えるPRESENCEですが、
以前にはミッドレンジをブーストするものや、常数が異なるもの
も作られていたようです。
残念ながら僕は詳細を知りませんが。

バイパスはいわゆるトゥルーバイパスではありません。
バイパス時にもバッファーがかんでいることになります。
一般にトゥルーバイパスが好まれているようですが、よく考え
ればバッファーは大変有効に使うことが出来ます。

気をつけなければならないのは、パッシブのハイインピーダンス
ピックアップが接続されることを前提に、入力回路の
インピーダンス等でサウンドを作っているエフェクターやアンプ
が次に接続されている場合で、当初の目論見とは異なっている
わけですから、期待する音が得られないことがあります。
ヴィンテージと呼ばれるものの中にはオーディオの回路をそのまま
流用しているものや、極端な入力インピーダンスのものなどが有る
ので、接続順をよく考えるほうがベターです。

たとえば「普通のワウ」のあとにファズフェイスをつなぐと、ワウ
が誤動作することがあります。これを回避するためのワウ組み込み
用のバッファー基板が売られています。
しかしこの場合はワウの誤動作はなくなりますが、ファズフェイス
の入力回路の特性は薄らいでしまうことになります。
トータルで期待通りになるのかどうか、なにを優先するか、
ちょっと難しいところです。
このような事態はアクティブの楽器でも同様におこり得ます。
アクティブの楽器に対するいわれなき非難は、
(僕はそう思っていますが)
使い方というか組み合わせかたへの配慮が足りないのが一因では
ないかと思っています。


つまり何と何をどう組み合わせるのか、どういう順番で接続する
のか、トータルでどういうシステムにしたいのか・・・
よーく考えなければなりません。

バッファー単体の製品が売られているぐらいですから、
バッファー自体の存在価値はおおいに有ります。
要は使い方だと思います。

僕はHOT CAKEのバイパスのバッファーを非常に便利に
使っています。何かの理由でシールドを非常に長くしたいとき
などには大変有効です。
またVOXのブライアン・メイ・アンプのように入力回路で
特有のサウンドを作っていると思われるもので、もう少し
「普通の」サウンドが欲しい時、バッファーを経由すると
良い結果が得られることが有ります。

いずれにしても、どれが正しくて良い使い方であるとか
ということはなくて、ギタリストがなにを求めているのかが
最重要です。それに合ったものが得られるのであれば、もし
仮にそれが一般的には間違いであるとされている場合でさえも、
そのギタリストにとっては絶対に正しい選択であると言える
と思います。

STDは典型的なオーバードライブサウンドでとても上品なの
ですが、やっている音楽によっては少しもの足りなく感じる
方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合には次に紹介するオールドサーキットを使用
されるほうが好結果を得られると思います。

                      (つづく)

**********************************
HotCake Old Circuit

オールド・サーキットです。
ボディにOld Circuitのラベルが貼ってありますが、
それ以外はSTDと外見上の違いはありません。
バイパスやコントロール類などSTDとまったく同一
です。
異なっているのは音の傾向で、STDに比較して
Oldのほうがよりシャープなエッジの効いた歪み方を
します。
僕は個人的にはこちらの傾向のほうが好みです。
パワーのあるギターではオーバードライブというよりも
むしろディストーション的なイメージで使えます。
これの前にもう一段ブースト系をつないで、いわゆる
FUZZ的なサウンドを目指す事も可能だと思います。


いろいろ試しているうちに面白い事を発見しました。
いままで「バイパス」と書いてきましたが、どうやら
そうではなく、たぶん「エフェクトOn」と「エフェクトOff」
の切り替えらしいのです。この違いを分かっていただける
でしょうか。
つまりHotCakeにおいては、特にバイパス用の回路を
用意しているわけではなく、エフェクト回路の動作点を
丸ごと移動させて、エフェクトのOn-Offを切り替える
(通過している経路はそのままでエフェクトが効く状態と
効かない状態を切り替える)
というようなしくみになっているようなのです。
ですからエフェクトOffのときでもLevelツマミを回して
みると、音が僅かながら変化するのが分かります。
おそらくGainやPresenceスイッチでもごく僅かに影響
すると思われます。
これらの影響はごくごく僅かなのでほとんど気がつかない
かもしれません。

Paulさんの発想にはいつも驚かされます。僕はたった今
この事実に想いいたるまで、このような切り替え方法は
考えてもみませんでした。回路に詳細にあたったわけではない
ので推理の段階ですけどね。

ただネットの情報によりますと、トゥルーバイパスの製品も
存在するようです。
スイッチ部は単純ではなく、フットスイッチと組み合わせて、
高価な小信号用リレーを使っていますから、多様な要求に
応えられる配慮がなされているのだと思われます。
この考えの集大成が、後日リポートする予定の「3ノブ」だと
言えます。

            (つづく)

******************************
HotCakeBlue & Prototype

HotCakeの低音を増強したブルーとそのプロトタイプです。
ブルーはオールドサーキットを基本にして、ベースに対応し、
ギターでもより低音を重視したい人のために作られた機種です。
プレゼンスコントロールがスイッチではなく連続可変のPOTに
なっています。
音色は基本的にオールドサーキットと似ていますが、微妙に
エッジのあり方が異なるように感じます。
低音域の増強具合は決してオーバーではなく、ギターで使っても
違和感がなく、むしろ僕にとっては好ましいものになっています。
普段のMIX仕事でも僕の音は「ローがたっぷり」と評されます
から、傾向として僕はロー好きなのかもしれません。
アマチュアバンド時代にはベースも弾いていましたから、その
辺りが影響しているのかもしれません。
HotCakeシリーズの中でもっとも好きな機種です。

ホットケーキシリーズでひとつ注意する事は裏蓋の取り付け
ねじです。
HCあな

(画像クリックで拡大)

このように取り付け用のねじ穴の一カ所が塗装をはがされて
います。この穴にねじを取り付ける事によって、裏蓋がアースに
落ちて、外来ノイズに対して有効なシールドになります。
ですからもしねじを紛失して本数が少なくなった時には、まず
一番にこの塗装をはがしたねじ穴にねじを取り付けるようにして
下さい。

銀色ケースのプロトタイプはブルーの企画段階で作られたもの
のようです。
配線にWEが使用されている事が特筆されます。生産品でも
一時期はWEモデルがあったようですが、作るのに手間がかかる
という事で最近は生産していないそうです。
音はWEのせいかどうか定かではありませんが、充実した
ミッドレンジが得られます。
もしWEの影響であるのなら、生産品のWEモデルを入手された方は
本当にラッキーだと思います。僕はこちらのプロトの方がより
好きです。

                    (つづく)

*********************************
HotCake勢揃い その5


HotCake3knob
最後にホットケーキ3ノブについて述べます。
先にも言った通りこの機種がホットケーキシリーズの集大成である事は間違いありません。コントロール類はブルーと同じくプレゼンスが連続可変のPOTになっていて、その他はDRIVEとLEVELという具合です。
特筆すべき点は、多様な要求に応えられるように、2個のジャンパーピンが備えられていて、ミュージシャンの好みで設定可能であることです。
ジャンパーピンは裏蓋をあけると基盤の上方の端に見る事が出来ます。
HCぴん

(画像クリックで拡大)
ピンをはずすのには特殊な道具は必要ありません。指につまんで注意深くまっすぐに引っ張れば取り外す事が出来ます。

HCぴん2

(画像クリックで拡大)
下の写真の向きで見て左側のピンはノーマルとブルースベリーの切り替えです。これはおそらくオールドサーキットとブルースベリー(STDからの発展型)の選択であると思われます。
右側のピンはGuitarとBassの切り替え。これはおそらくノーマルとXLF(ブルーで採用された低音増強)の切り替えです。

HCじゃんぱ

(画像クリックで拡大)
つまりこの3ノブでは今まで紹介してきた機種の音を、ミュージシャンの好みによって、かなりの程度に選択できるという事になります。
「かなりの程度に」というのは、単音色の機種と同等になる設定にしたとしても、まったく同じではないように思えるからです。言葉で言い表すのは困難なのですが、微妙に異なって聞こえます。
だからといって3ノブの音が駄目だと行っているわけではありません。各機種それぞれには個性があって、3ノブの各設定にもそれがあるという事です。単音色の機種(オールドサーキットやSTDなど)はそれぞれの音色での狙いが限定されている感じがしますが、3ノブでは広い用途に対応するために柔軟性を持たせているように思います。帯域がより広がっているような気がします。
ジャンパーピンを希望の位置にさせば対応する機種の音に非常に近くなります。この例ではオールドサーキットで低音増強、つまりブルーと同等のセッティングにしています。

HC N+B

(画像クリックで拡大)
このピンで注意する事は何度も差し替えていると接触不良になり易い事です。それほど機械的に強いパーツではありません。取り扱いは出来るだけ丁寧にして、接触部を汚さないようにして下さい。もし動作に不安が生じたら、無水アルコール等で洗浄したり、接点復活剤で接点を保護したりする事がおすすめです。もしピンをなくしたり、何らかの理由で不具合を起こしたりしたときには、このピンは特殊な事をやっているわけではなく単にショートピンですから、それなりの知識を持った方に相談して下さい。

最後にもう一度バイパスについて書きます。
バイパス時の音を完全トゥルーバイパスと比較すると、受け側の状況によって差が出たり出なかったりします。

例えば僕のマーシャルで比較すると両者の差は僅かです。トゥルーバイパスよりもホットケーキのバイパスの方が少しだけクリーン側によった(透明度が高い)ような感じがします。
{ ギブソンの直流抵抗が13.4キロオームのハムバッカーでためすと、ホットケーキのバイパスの方が高域が伸び、ミッドレンジのもたつき感が若干減少します。レンジが少し上側に向かって広がっているような印象です。}

まったく同じ接続方法でほかのあるアンプで試してみると、こちらの差はきわめて大きいです。このアンプは入力回路の状態でパッシブピックアップの音を作っているタイプだからです。バイパスのバッファーを通った状態ではこの音作りが生きないのです。このアンプはちょっと変わった音で定評があるのですが、バッファー経由だといたって素直な音の感じになります。パッシブピックアップが直接つながるトゥルーバイパスでその独特の音色が得られます。

またDTMでよくあるようなギター用ではないラインインプットに接続すると、これもまた大きな差が出ます。トゥルーバイパスでは受けのインピーダンスが低すぎるために高域のないくぐもった音色になります。バッファー経由のバイパスにするとその影響から逃れる事が出来ますから、自然なそのギター本来のサウンドを得る事が出来ます。

以上のように接続の仕方や組み合わせで音は様々に変化します。

何度も言っている事ですが、一般的な意味での正解はありません。ミュージシャンがなにを求めているのか、今どんな音が欲しいのか・・・
この事だけがその場面での正解を導き出すのです。各状態での音の変化を是非記憶して下さい。そして必要なときにそのノウハウを引き出すという事が、望む音を素早く正しく実現するための秘訣です。

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